投稿日:2022.02.11 / 最終更新日:2022.07.05

もう一つの著作権「著作人格権」

出版する際、必ずついてまわる問題、それが「著作権」

その「著作権」、本を作る際に関わってくるパターンの代表的なことは2つ。一つは、原稿自身の著作権。そしてもう一つが原稿に載せる内容が他者が作成したコンテンツを引用する場合の著作権。大きく分けてこの2つです。

実は、それとは別にもう一つ注意すべき著作権があります。それが「著作人格権」

今回の小ネタでは、「著作人格権」について記載したいと思います。

 

著作権をもう一度確認しましょう

「知的財産権とよばれる権利の一つで、著作物を創作した時に発生する権利です。登録などは不要です。自然に発生する権利です」ということを「自費出版で発行した原稿の著作権は誰のもの?」「他人が作ったコンテンツ、どこまで使える?」の二つの小ネタで書いてきました。

思想や発想、感情で創作されるもので自然発生するものということは過去の小ネタで掲載してきました。

そして、著作権フリーとはどういうことかも掲載してきました。

おおまかな内容は過去に掲載した内容の通りです。

しかし、もう一つ大事なことがあって、それは「著作権には人格が存在する」ということです。

 

著作人格権とは?

 

著作人格権とは、平たく言うと、著作者の「精神的」な部分を守るということです。なぜなら著作物を創作した背景として、何度も記載しているように「思想・発送・感情」の部分が反映されているからです。つまり「気分を害するのはイヤなんですけど!!」ということです。

 

そして、その著作人格権にはいくつかの項目があります。

どんな項目があるのでしょうか?

 

公表権

公表権というのは、著作者が自分に著作権がある著作物を、「いつ、どういう形で」世に公表するかは、その著作者の自由だということです。

早い話が、「自分で作ったものは自分で決める」ということです。当然と言えば当然です。

例えば、ある完成しきっていなくて表に出していない著作物があったとして、それが何らかのきっかけで赤の他人の手に渡ったとします。そしてその赤の他人がいつの間にか世に出してしまったという場合、これは納得できないですよね?ですから「勝手に出すんじゃねえよ!!今すぐ止めろよ!!」と言えるわけです。これが公表権です。

 

まさに「公表する権利」そのものですよね。

 

でも実際にビジネスが絡んでいく場合、公表ありきで進んでいくことの方がほとんどですが、あまり問題になるケースはないようです。

しかし、以前に某ミュージシャンが未発表の楽曲を勝手にテレビで放映されたとして裁判になったこともあり、実際にありえない話ではありません。

 

氏名表示権

氏名表示権とは、著作物のクレジットなどの掲載に関して、「どのような氏名でクレジット掲載するか」「掲載するか否か」は著作者自身で決められるということです。

よくシンガーソングライターと呼ばれる人たちの中で、歌手としては自身の名前を、作詞作曲としてはペンネームをと使い分ける方がいらっしゃいます。要はそれです。

しかもこれは作品ごとに使い分けが可能です。

クレジットに名前を載せてほしいけど、本名はイヤだというケースが多々あります。そういった場合は、使い分けることは自由ですよということです。

また、クレジットを省略することが可能なものに関しては、匿名とすることも著作者自身が決められます。

そして、逆のパターンとして、本来著作者名を載せなければならないものに、載せなかったというパターンは「氏名表示権違反」になります。

つまり、「載せるか載せないか。どう載せるかは、自分で決める」ということです。

 

同一性保持権

同一性保持権とは、著作者は自分の著作物の自分の意にそぐわない改変は認めないという権利です。

早い話が「こだわりを変えるな」ということです。これはクリエイティブ・コモンズの改変可のものであっても、「自分のイヤなものに変えるな」ということです。

この手のものでわかりやすい例は「パロディ」かと思います。

自分が手塩にかけて作り上げた著作物を、おもしろおかしく改変されたとなれば気分を害す著作者がいることは容易に想像がつきます。そんな時に差し止め請求ができます。

出版の場合でもいろんなケースが考えられます。

著者が持ってきた小説のタイトルを、「これはダメだから!」といって勝手にタイトルを変えてしまった…これは同一性保持権違反です。文章の中に出てくるある一部の表現を別の表現に勝手に変えた…これもダメです。

ビジネス書を持ち込んだ原稿の中に出てくる棒グラフを折れ線グラフに勝手に変えた…これ、ダメです。

出版の場合、勝手に変えることはほとんどないと思いますが、ケースとしてはあり得ます。

「自分の意に反して勝手に変えるな」ということですので、著作者と話し合って進めれば何の問題もないことです。

 

 

名誉声望保持権

名誉声望保持権とは、パブリックドメインの素材、著作権フリーの素材や、著作者の許可を取って使用する著作物を利用するにあたって、改変など加えなかったとしても、「著作者が望まない使い方をしないでね」という権利です。

わかりやすい例を挙げると、最近フリーのモデルさんが自身の写真を著作権フリーで公表しているケースがありますが、その写真をいかがわしいお店の看板に使用された場合、そのモデルさんが「そういう使われ方はイヤ」という場合、「今すぐこの看板からこの写真を外してください」と言えるということです。

もっと極端な例を言うと、とある自動車メーカーのCMに使いたい楽曲があったとして、その楽曲の作曲家が大の自動車嫌いな場合、名誉声望保持権を主張できます。なぜなら「そいう使われ方はイヤ」と言えるからです。

 

著作物というのは、著作者がいてこそ成り立っている

 

著作物というのは、著作者がいて成り立ちます。どこまでいっても「人」が作り出すものです。その「人」の気持ちを大切にしなければいけないというのが、著作権との向き合う姿勢なのだと思います。

結局は、「人同士が紡ぎあう」という人生の在り方そのものかもしれませんね。

 

 


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