投稿日:2022.02.03 / 最終更新日:2022.07.05

自費出版で発行した原稿の著作権は誰のもの?

出版する際、必ずついてまわる問題、それが「著作権」

その「著作権」、本を作る際に関わってくるパターンの代表的なことは2つ。一つは、原稿自身の著作権。そしてもう一つが原稿に載せる内容が他者が作成したコンテンツを引用する場合の著作権。大きく分けてこの2つです。

今回の小ネタでは、「原稿自身の著作権」について記載したいと思います。

 

 

著作権とは

知的財産権とよばれる権利の一つで、著作物を創作した時に発生する権利です。登録などは不要です。自然に発生する権利です。

 

知的財産権とはどういうもの?

知的財産権とは「特許」「実用新案」「意匠」「商標」「著作物」に与えられる権利で、この中で「著作物」以外は申請・登録が必要で、すべてが認められるものではありません。

 

著作権の範囲は?

その人の思想や発想、感情などによって創作される(←ここ大事)ものに与えらえれます。主に、音楽・絵画・美術・写真・映像・記事・文芸・小説・図面・キャラクター・プログラムなどです。

あくまで、創作ということが大事で、例えば丸印を書いた瞬間に「これは私の著作物だ!!」って叫んだところで、これに著作権は与えられません。なぜなら、誰が描いても同じようなものになるので、創作物とは言えないのです。

しかし、今この瞬間に私が思いついた適当なメロディーの鼻歌は著作物にあたります。誰かが輪唱してきたら、声を大にして「オレの著作権を侵害するな!!」って言えることができます。(言いませんけど)

 

著作権の権利は永久?

著作権にはタイムリミットがあります。それは著作者が実名が公表されている場合は、著作者の死後70年後です。無名・変名(いわゆるペンネームなど)の場合は、公表後70年。団体の著作権も公表後70年。映画はすべて公表後70年。それを過ぎると著作権は消滅します。

 

出来上がりの良し悪しで著作権の有り無しは関係する?

これはまったくありません。自然発生するものですので、出来上がりの良し悪しや精度などはまったく関係ありません。

 

著作権は他人に譲れる?

譲れます。書面等で譲ったこと、譲り受けたことを証明できれば、譲渡を立証できます。しかし、著作権は譲れても譲れない権利があります。それは「著作人格権」

この「著作人格権」に関しては別の機会にお届けします。

 

著作権は放棄できる?

今のところ、放棄をする方法はないようです。できることと言えば、「好きなように使ってください」と公表することと、著作物を無断で使われても何も言わないということになると思います。

 

 

出版に関する著作権

商業出版にせよ自費出版にせよ、出版することには内容がどうであれ、著作権が必ず関わってきます。

 

商業出版の場合の著作権

商業出版とは、作家(著作者)が出版社に出版権(版権)を与えて初めて出版できるしくみです。書店に並べられている本のほとんどはこの方法です。

そして、出版権を与える代わりに、「著作物の使用料は払ってくださいね」ということになります。これが「印税」です。

 

作家「オレの書いた原稿、君の出版社で使ってもいいぜ!!」

出版担当者「ホントですか!?ぜひ使わせてください!!」

作家「ああいいとも、ただし定価の〇%の金額を支払えよ!」

出版担当者「もうちょっとまけてくださいよ~」

こんなやり取りがあるかどうかはわかりませんが、平たく言うと(平たくもないけど)こういうことです。

その金額や、支払い方法、一冊あたりにかかるパーセンテージか、一括でまとまった金額になるかなどはケースバイケースで、それぞれの案件ごとによって変わります。作家との関係性も大きくかかわってきます。これは出版契約という形で決定していくことになります。

つまり、著作権は作家にあって、その著作物を使う権利は出版社にあるということになります。

もし販売した本が売れまくって、重版となった場合は、出版社の一存で決定できます。もちろん、印税は支払われます。そのこともあらかじめ出版契約で明確にしておくのが一般的です。

 

自費出版の場合の著作権

商業出版に対して、自費出版の場合はというと、著作者と出版社の関係性が違います。著作物に対する著作者に変わりはありません。出版権(版権)はというと、これは出版社にありません。(らく楽自費出版工房の場合)

なぜかというと自費出版の場合は、あらかじめ出版する冊数分の費用をすでに著作者側が支払っています。この時点で作った本すべてが著作者のものになります。本を全部引き渡して、あとは著作者さんが「自分で全部売ります!」となれば契約はここで終了です。ですので印税などの類は発生しません。売れた分は全部著作者の利益です。この後は、その著作物をどう使うかは出版社側に決める権利はありません。(らく楽自費出版工房の場合)

ただ、Amazonなどで販売しようとする場合、自身で全部手配するわけにはいかないですよね?ですので、本を作ったそのままの流れで出版社側が販売・集金の手配もします。つまり「販売の代行」を本を作る一連の流れでするということです。その代わり「売れた分の中から手間賃はくださいね。残りは著作者に戻しますね」という流れになります。

この「著作者に戻す残りのお金」をらく楽自費出版工房では「売上分配金」と呼んでいます。

この売上分配金は、自費出版社各社それぞれ幅があると思います。らく楽自費出版工房は50%です。これは出版契約を結ぶ際に明確化します。

これには期間があります。その期間は、いつまでの販売を請け負うかという契約を結ぶことで決定します。

そして、おかげ様で売れまくってめでたく全冊完売となった場合、「重版しましょう!!」とは実はならないのです。この判断は実は著作者が判断しなければなりません。出版社の一存では決められないのです。なぜなら、出版社側に出版権がないからです。

ですので、このまま絶版と判断されても構いませんし、重版して新たな契約を結び直すということもあるでしょうし、「今回は別の出版社で」みたいなこともあり得ます。はたまた、「契約そのものを見直そう」ということもあるかもしれません。「いっそのこと商業出版に切り替えましょう!!」なんてこともあるかもしれません。

いずれにしても、主体は完全に著作者にあるというのが自費出版です。

 

著作権は立派な財産です

作家さんが長く時間をかけて作り上げてきた一つの本は、立派な財産です。人ががんばって創作してきたものはかけがえのない財産です。せっかく作り上げた著作物、じっくりと味わい尽くしてほしいと願うばかりです。

 

 


作り上げた著作物をたっぷり味わい尽くしたとお考えでしたら、お気軽に「らく楽自費出版工房」にお問い合わせください。らく楽自費出版工房は、装丁デザイン代・本文レイアウト代・Amazon販売手数料、コミコミ価格でご提供しています。

 

 


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