投稿日:2023.04.03 / 最終更新日:2023.12.08
暴露本を出版したい方へ~暴露本は訴訟リスクも!出版する前に知っておきたい法律のこと~
ノンフィクションジャンルの中でも一定の需要があるのが「暴露本」です。
芸能人やタレントの暴露本の中にはある程度のヒットとなったものもあり、暴露本の需要が証明されました。
現在も暴露系のYouTuberが活躍しているなど、暴露には多くの興味関心が寄せられます。
関連して、有名人のスキャンダルはテレビや新聞、雑誌で報道され、しばしば世間を賑わせることもありますね。
暴露ジャンルは個人を対象としたものに限りません。
企業や組織などを対象とした暴露・告発も世間の注目を集めることがあります。
暴露本には世間の興味関心・好奇心を満たすものもあれば、世の中を良くするために出版されるものもあります。
しかし、需要がある一方で、訴訟リスクもあるのが暴露本というジャンルです。
この記事では暴露本の出版にはどのようなリスクがあるのか、そしてどうしても出版したい時はどのようなポイントを確認すれば良いのかを解説します。
目次
暴露本を出版して訴えられたらどうなる?
まずは暴露本のリスクからていねいに解説していきます。
暴露本を出版して訴えられる場合、2つのパターンが考えられます。
- 刑事訴訟となるパターン
- 民事訴訟となるパターン
それぞれ「刑法」に定められているものか、「民法」に定められているものかという違いがあります。
わかりやすく言うと、警察に犯罪として捜査をされるか、個人間のトラブルとして解決を求めて争うかの違いです。
どのような罪や責任を負わなければいけないのか、詳しく見ていきましょう。
刑事罰に問われる可能性も。懲役や罰金が科され、前科がついてしまう
刑事罰に問われるということは、「犯罪者」になってしまうということです。
犯罪というと人を傷つけたり窃盗をしたりといったことが思い浮かぶかと思いますが、本を書いて出版するだけでも犯罪になる場合があるのです。
この場合、懲役や拘留、罰金といった刑罰が科されるだけでなく、前科がつくことでその後の社会生活にも大きなダメージを受けることになります。
今の仕事を失うかもしれませんし、今後の就職に悪影響を及ぼすかもしれません。
社会的な信頼に傷がつき、家族や友人、親しい人との関係にヒビが入る可能性もあります。
場合によっては、一度の過ちで人生が大きく変わってしまうこともあります。
暴露本は軽い気持ちで出版すると、想像もしなかったような打撃を受けるかもしれないのです。
民事責任も負う可能性あり。慰謝料の支払いや出版差し止めなど
民事訴訟となった場合は「犯罪」とはなりませんが、それでも大きな痛手を負ってしまう可能性も少なくありません。
- 慰謝料の支払い
- 出版差し止め
- 謝罪広告の掲載
など、相手のこうむった被害の大きさ・精神的苦痛の大きさによって、求められる内容はさまざまです。
慰謝料を支払うこととなった場合、金銭的に大きな負担となることは言うまでもなく明らかでしょう。
出版の差し止めを命じられた場合も、自費出版であれば出版費用の回収ができず、大きな赤字を抱えることになるかもしれません。
また、謝罪広告の掲載など、相手の名誉を回復するための手立てを命じられることもあり、この場合も費用がかかります。
金銭的な負担はもちろんですが、裁判となれば精神的にも大きな負担がかかります。
刑事罰ほどおおごとではない場合でも、「訴えられた」というだけで社会的信頼に傷がつく場合もあるでしょう。
刑事訴訟と民事訴訟、両方で訴えられることもありますので、暴露本の執筆には細心の注意が必要です。
暴露本はどのような罪に問われるのか
刑事罰のリスクについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
暴露本は、どのような法律に違反するのでしょうか?
本の内容にもよりますが、暴露本に関連して押さえておきたい主な罪を、刑法から4つピックアップしました。
- 名誉毀損罪
- 侮辱罪
- 偽計業務妨害罪
- 信用棄損罪
聞いたことがあるものも、初めて聞くというものもあるかと思います。
これら4つの罪について、法律ではどのように規定されているのかわかりやすく解説します。
名誉毀損罪
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。 (刑法第231条) |
侮辱罪の条文は法律でこのように定められています。
内容を噛み砕くと……
・具体的なことがらについてじゃなくても(「バカ」や「ブラック企業」などの誹謗中傷でも)
・公の場で
・人(個人・法人問わず)を侮辱した場合は
・1年以下の懲役or禁錮or30万円以下の罰金or拘留or科料に処せられる
という法律になっています。
偽計業務妨害罪・信用棄損罪
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。 (刑法第233条) |
偽計業務妨害罪・信用棄損罪の条文は法律でこのように定められています。
内容を噛み砕くと……
- 嘘の風評を流したり、他人を欺いて
- 人(個人・法人問わず)の信用に傷をつけたり
- 業務(経済的活動のみではない)を妨害した場合
- 3年以下の懲役or50万円以下の罰金に処せられる
という法律になっています。
この法律で注意すべきポイントは2点あり、
- 自分が真実であると信じていても、間違っていた場合には罪となること
- 実際に信用を傷つけてはいなくても、その可能性があれば罪に問われること
これらに注意が必要です。
「どうしても告発したい」という時にチェックすべき3つのポイント
これまで刑事罰について重点的に確認をしてきましたが、暴露本に関するリスクはこれだけではなく、民法に規定されている他人の権利を侵害してしまう危険もあります。
プライバシー権、肖像権、パブリシティ権などは特に当てはまりやすいでしょう。
これらのリスクを考えると暴露本の出版は現実的ではないと感じられるかもしれませんが、それでもどうしても出版したいのだという強い思いがある人も中にはいらっしゃるはずです。
訴訟リスクや罪に問われるリスクを完全に避けることは難しいですが、ここでは名誉毀損罪の特例に焦点を当て、暴露本の正義が認められる可能性について解説をします。
(※このチェックポイントを全て守ったからといって、訴訟リスクが0になるわけではありません)
公共の利害に関する場合の特例
(刑法第230条の2) |
名誉毀損罪には、このような特例が定められています。
ここから、名誉毀損罪にあたらないための3つのポイントがわかります。
- 公共の利害に関する事実
- 公益を図ること
- 真実であることの証明があったとき
これら3つの要件を満たしている場合は、名誉毀損の罪には問われず、表現の自由が守られるようになっています。
少しわかりにくいと思いますので、それぞれのポイントを簡単に解説します。
- 公共性
- 公益目的
この2つは近い概念で、公共性が認められると公益目的もみなされる場合が多いです。
どちらも「一般社会に広く利益をもたらすこと」「社会の役に立つことを目的としている」などという意味になります。
注意しておかなければならないのが、人々の役に立つ情報であっても
・ただ興味関心を満たすだけのもの(芸能人のスキャンダルなど)
・公益以外の目的がある場合(個人的な恨みや利益を目的としている場合など)
このような場合は「公共性」や「公益目的」が認められませんので気を付けてください。
また、3.にあるように、指摘した事実は真実でなければなりません。
「思い込み」や「確認が足りなくて」真実だと誤解していた場合は③が成立しませんので、事実確認は慎重に行う必要があります。
それでも暴露本を出版したい方は、一度ご相談ください
暴露ジャンルには一定の需要がありますが、情報発信や出版には大きなリスクがあることも伝わったかと思います。
リスクを知った上で、それでも出版したいという強い思いをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
そのような場合は、ぜひ一度ご相談くださいませ。
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